海岸に落ちていた「謎の渦巻き」…正体はほとんど姿を見せない深海イカだった

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アメリカ・テキサス州の海岸で、小さな「白い渦巻き」のような物体が複数発見され、注目を集めています。

一見すると小さな巻き貝のようにも見えますが、実はこれ、深海に生息するイカの体内にある殻。

その持ち主は「ラムズホーン・スクイッド」と呼ばれる、非常に変わった深海生物です。

海岸で見つかった小さな「渦巻き」

今回発見したのは、テキサスA&M大学コーパスクリスティ校のHarte Research Instituteで活動するJace Tunnell氏。

海岸で見つかった白い物体は、直径約1インチ(約2.5cm)の小さな渦巻き状をしていました。

その正体は、ラムズホーン・スクイッド(学名:Spirula spirula)が体内に持つ殻です。

普通の巻き貝のように外側を覆っているわけではなく、生きているときはイカの体の中に収まっています。

今回特に珍しいのは、この内部殻が海岸で複数見つかったことだといいます。

水深200〜1,000mほどの「トワイライトゾーン」に生息

ラムズホーン・スクイッドは、普段は人間が簡単に観察できない深い海に暮らしています。

報道によると、生息するのはおよそ水深200〜1,000m。

太陽の光がほとんど届かなくなっていくこの領域は、「トワイライトゾーン」とも呼ばれています。

ラムズホーン・スクイッド自体も小さく、体長は3インチ(約7.6cm)未満。

さらに発光器官を持ち、光を発することもできる不思議な生物です。

渦巻き状の殻は「浮き袋」のような役割

なぜイカの体内に、こんな渦巻き状の殻があるのでしょうか。

この殻の内部はいくつもの部屋に分かれており、浮力を調節するために使われています。

イカが死んで体が分解されたあとも殻は残り、その高い浮力によって海面まで浮上。

海流に乗って長い距離を移動し、最終的に海岸へ流れ着くことがあります。

つまり海岸で見つかる小さな渦巻きは、遠い深海からやってきた「深海生物の痕跡」というわけです。

生きた姿が自然環境で撮影されたのは2020年

殻は海岸に流れ着くことがある一方、生きているラムズホーン・スクイッドを自然環境で観察することは非常に困難です。

2020年には、オーストラリアのグレートバリアリーフ沖の深海調査で、生きた個体が自然環境を泳ぐ様子が撮影されました。

研究論文では、これがラムズホーン・スクイッドの初めての生息環境内での映像記録として報告されています。

海岸に落ちていた、わずか数センチの白い渦巻き。

何気ない「貝殻」のように見えるものが、実はほとんど人目に触れることのない深海イカの体の一部だったとは驚きです。

次に海岸を歩くときは、足元に深海からやってきた珍しいものが落ちていないか、少し気にしてみたくなります。

Photo: Fritz Geller-Grimm / CC BY-SA 2.5
出典:Wikimedia Commons

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