約7000万年前の化石、調べたら「新属・新種」だった!和歌山で見つかったクモヒトデの正体が判明

和歌山県で30年以上前に発見された小さな化石が、実はこれまで知られていなかった「新属・新種」のクモヒトデだったことが明らかになりました。

化石が見つかったのは、和歌山県有田川町にある約7000万年前、白亜紀後期の地層。

研究の結果、新種は「エナコスファルマ・ナガシマイ(Enakosphalma nagashimai)」と命名されました。

国内産のクモヒトデ化石で新しい「属」が確認されるのは2例目。近畿地方から新種のクモヒトデ化石が報告されるのは初めてです。

化石が見つかったのは1994年

この化石を発見したのは、故・永島二人(つぎと)さん。

1994年、和歌山県有田郡有田川町久野原にある「外和泉層群二川層」と呼ばれる約7000万年前の地層から採集しました。

その後、化石は北九州市立いのちのたび博物館に収蔵され、国内外の研究者によって詳しい調査が行われました。

そして発見から30年以上を経て、これまで知られていなかった新属・新種であることが判明したのです。

新種名の「ナガシマイ」は、発見者である永島さんにちなんで付けられています。

CTスキャンで岩の中まで調査

研究では、化石を壊すことなく内部を調べられるCTスキャンが使用されました。

化石の一部は岩石の中に埋まっているため、表面から観察するだけでは詳しい特徴が分かりません。

そこでCTスキャンを使って内部の構造を解析。

外からは見えない部分まで詳しく調べた結果、既知のクモヒトデとは異なる特徴が確認され、新属・新種と判断されました。

CTデータをもとに、化石を3倍に拡大した3Dプリンター製のレプリカも作られています。

「世界初」の白亜紀の記録

今回の発見は、単に新種が見つかったというだけではありません。

エナコスファルマ・ナガシマイは「アヤマチクモヒトデ科」というグループに分類されています。

現在この仲間は主に深海で暮らしていますが、約1億8000万~1億6000万年前のジュラ紀には、浅い海で生活していた仲間の化石が確認されています。

ところが、その後の長い期間については化石記録がほとんどありませんでした。

今回発見された約7000万年前の化石は、アヤマチクモヒトデ科として世界で初めて確認された白亜紀の化石です。

発見された地層が比較的深い海で形成されたと考えられることから、この仲間が白亜紀にはすでに深海へ進出していた可能性を示す重要な手がかりとなります。

世界で確認されている標本はわずか1点

さらに驚くことに、現在確認されているエナコスファルマ・ナガシマイの実物標本は、この化石1点だけです。

実物標本は北九州市立いのちのたび博物館で、2026年7月31日から9月23日まで特別展示されています。

和歌山県立自然博物館でも、CTデータから作られた3倍拡大レプリカが9月16日まで展示されています。

1994年に何気なく採集された小さな化石。

30年以上の時を経て、その正体が約7000万年前の海に生息していた「新属・新種」だったことが明らかになりました。

現代のCT技術によって、太古の海の生き物たちがどのように深海へ進出していったのか、その歴史も少しずつ見えてきています。

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